概要
キマイラは、グランザール森林域の奥地や人跡未踏の深い渓谷に生息する、魔獣タイプ・脅威度Aの大型魔獣である。
体高は約11リーヴ~12リーヴ7ティル、尾を含めた全長は約31リーヴ5ティル~44リーヴにも達する。獅子を基礎とした巨体に、背中から生えた黒い山羊の上半身と、巨大な大蛇へと変化した尾を併せ持つ。
獅子の牙と爪による近接攻撃、大蛇による攻撃、火・雷属性魔法による遠距離攻撃に加え、山羊が回復魔法を使用するため、近距離・遠距離のどちらにおいても明確な隙が少ない。
一度の攻撃で倒し切れなければ、受けた傷を山羊の回復魔法によって修復されるため、戦闘が長引くほど討伐側が不利になっていく。
攻撃力、魔法への対応力、継戦能力のいずれも極めて高く、脅威度Aに分類される魔獣の中でも討伐難度の高い存在である。
討伐には、3~4人で構成されたAランク冒険者パーティを複数組編成するのが一般的とされている。単独での討伐成功例はほとんど記録されておらず、十分な戦力を整えずに交戦することは極めて危険である。
普段は森林奥地や渓谷から離れず、自ら人里へ現れることは稀である。そのため、人間との遭遇の多くは、冒険者や旅人がキマイラの縄張りへ侵入したことで発生する。
生態
一日の大半を睡眠と捕食に費やしている。
食性は肉食であり、アウルベアやワイルドボアといった危険な魔獣だけでなく、大型飛行魔獣であるグリフォンさえ捕食することが確認されている。
群れを形成することはなく、基本的には単独で行動する。極めて強い縄張り意識を持ち、自らの縄張りへ侵入した者に対しては、人間や魔獣の区別なく容赦なく襲い掛かる。
その一方で、行動範囲は巨体から想像されるほど広くない。一度縄張りを定めると長期間そこを離れず、睡眠、捕食、警戒といった行動のほとんどを一定の範囲内で行う。
人里へ積極的に進出する習性は確認されていないため、通常は人間社会へ直接的な被害をもたらす存在ではない。しかし、生息域へ踏み込んだ場合には遭遇を避けることが難しく、縄張り内で発見された時点で戦闘へ発展する危険性が高い。
これまでに確認された個体は、すべて雄とされている。雌に相当する個体は現在まで発見されておらず、交配、産卵、出産を含めた繁殖方法についても明らかになっていない。キマイラがどのように個体数を維持しているのかについては、現在も分かっていない。
見た目
獅子の頭部と四肢を持つ巨大な肉体に、黒い山羊の上半身が背中から生え、尾の部分は巨大な大蛇となっている。
獅子、山羊、大蛇という三つの異なる生物が、遠目からでも通常の魔獣とは明らかに異なる存在感を放つ。
獅子の頭部と前脚は、鋭い牙や爪を用いた近接戦闘を担う。背中から伸びる黒い山羊は周囲を見渡す位置にあり、傷ついた肉体へ回復魔法を使用する。巨大な大蛇となった尾は、後方や側面から接近する相手を攻撃するとともに、雷属性魔法を操る。
三つの頭部がそれぞれ異なる方向を警戒できるため、死角から近づくことも容易ではない。
初めてキマイラを目にした者の中には、その巨体と異形の姿から強い恐怖を覚え、身動きが取れなくなる者も少なくない。
特徴
獅子の頭は火属性魔法、山羊は回復魔法、大蛇は雷属性魔法を操る。
戦闘では獅子と大蛇が前線で激しい攻撃を仕掛け、山羊は傷ついた肉体を回復し続けるため、長期戦になるほど討伐難度が増していく。
三つの頭部は独立した意思を持つかのように連携して行動し、息つく暇もない連続攻撃を繰り出す。
獅子の頭部は火属性魔法を操り、牙や爪による近接攻撃と組み合わせて敵を追い詰める。巨体を活かした攻撃は単純ながら強力であり、正面から受け止めることは極めて危険である。
大蛇の頭部は雷属性魔法を操る。尾そのものが巨大な蛇となっているため、獅子の正面攻撃を避けた相手や、側面・後方へ回り込もうとする相手にも攻撃を仕掛けることができる。
背中の山羊は回復魔法を操り、獅子や大蛇が負った傷を継続的に回復する。討伐側が与えた損傷を時間とともに修復するため、決定打を与えられないまま戦闘が長引けば、冒険者側だけが消耗していくことになる。
三つの頭部は、それぞれが独立した意思を持つかのように異なる対象を認識しながら行動する。しかし、その動きは互いに妨げ合うことなく、ひとつの肉体として高度に連携している。
獅子が正面から攻撃を仕掛け、大蛇が側面や後方を補い、山羊が傷を回復することで、攻撃、防御、回復を同時に成立させている。この三位一体の戦闘能力こそが、キマイラ最大の特徴である。
ドロップ品
主要ドロップ品
キマイラの爪、キマイラの牙、キマイラの鬣、山羊の角、大蛇の鱗、山羊の肉、キマイラの魔石(大型)
副産物
獅子の肉、大蛇の肉
キマイラの鬣は、非常に高い耐久性と柔軟性を兼ね備えている。傷みにくく、強い張力にも耐えられることから、高品質な弓の弦を作るための素材として重宝されている。
山羊の肉は臭みが少なく、上質な食材として珍重されている。入手難度が高いため一般的な市場へ出回ることは少ないが、高級料理店で扱われることがある。
獅子の肉は独特の臭みが強く、人間の食用には適していない。一方で、グリフォンを誘引するための餌として利用されることがある。
大蛇の肉には強い毒性があり、食用にはできない。加工素材としての用途も乏しいため、討伐後は廃棄されることがほとんどである。
キマイラから採取される大型魔石は、強力な魔力を秘めている。高位の魔導具や魔法剣の素材として珍重されており、高値で取引される。
キマイラの爪、牙、山羊の角、大蛇の鱗も武器や防具の素材として高値で取引されている。